TOUCH摂食咀嚼嚥下ウェビナー基礎A終了
3月10日,31日に基礎Aウェビナー開催しました(少々遅い).この間に17日には大分食のリハビリテ-ション研究会で講演(なつかしい人たちと旧交を温めました),24日は新潟での日本リハビリテーション病院施設協会の医科歯科連携インストラクター講習会で講演しました.5類移行後,徐々にphysicalに活動することが増え,リモートでは感じることができなかった交流が増えて,まるで春になって冬眠から覚めた熊状態です.
さて,昨年からある施設に入所されている方の訓練を担っております.脳血管障害後に嚥下障害との診断で非経口摂取にされて長期経過したものの,その対応にご家族が納得できず,現在の施設が嚥下リハを行えるとのことで転所されて来られました.入所後に,ある訪問歯科医によるVEで誤嚥があると診断されたことで,second opinionを求めて,私共に相談に来られました.
病歴や現症から嚥下機能には本質的な問題はなく,むしろ廃用化が原因であると思われたため,介入を開始しました.その施設には珍しくST職が常勤しているとのことで,心強く思えたのですが,残念なことに,非経口摂取で長期経過した方の経験は皆無(と私は見ました)のようで,問題を説明したうえで協力を期待しましたが,「そんなやり方は見たことがないから,それができるSTを連れてこい」とまで言われる始末.
当方が行った内視鏡検査では,speechでは半側の軟口蓋は運動するものの,咽頭後壁との接触はスリット状で軽度開鼻声も認められましたが,嚥下時には完全閉鎖しているため,本質的な問題はないと診断しました.口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能に関わる口蓋帆挙筋の活動は口腔内の食事量に応じて活動が変化するため,経口摂取していない場合には廃用化していることが考えられ,VEやVFを行っても嚥下障害があると誤診されます.この方も同様であると思われました.
さて,下のVF像を見られて,皆さんは何と診断されるでしょうか?
検査というのは,何が問題で,どうすればよいのかのプログラムを作るためですね.
次回,TOUCHウェビナーは5月12日,6月2日です.もう今年も半分過ぎる頃ですね.
今日は風が強く,猫額庭の蹲には芍薬が落ちていました.
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