TOUCH口腔機能回復センター http://touch-clinic.jp/ (舘村歯科クリニック内) 一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

口腔機能の歯医者-DocTak舘村卓のささやきⅡ

摂食嚥下障害や音声言語障害に悩む方々のお役に立てる情報を提供します.

TOUCH Team for Oral Unlimited Care and Health
限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団
口腔機能の歯科医師 舘村卓は以下の代表を務めています
TOUCH口腔機能回復センター(舘村歯科クリニック) http://touch-clinic.jp/
一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

舌小帯_最終回です.第51回TOUCHセミナー募集中です

先週,明治HDさん,産総研さんとの共同研究のために小田原に出かけていました.現在,ラグビーワールドカップが開催されていますが,小田原ではオーストラリア代表のワラビーズが事前キャンプを張っていました.オーストラリアから大挙してファンが押し寄せていました.

何と小田原の駅前で馬に騎乗する北条早雲さんも,応援のために,ワラビーズの黄色のユニフォームを着ていました.

f:id:DocTak:20190928152607j:plain

北条早雲さん_ワラビーズ応援中

舌小帯のシリーズは2回で終わるつもりが,3回になり,今回が最終回です.

  構音機能の評価ができない段階での舌小帯の手術は避けるべきであることを書いてきました.しかしながら,臨床の現場では,構音に問題がないにもかかわらず,舌小帯を延長しなければいけない患者さんに遭遇することがあります.

さて,どんな患者さんでしょうか?

 

 もちろん,単音レベルでの構音機能に重度の問題がないものの,教科書的に「舌を突出させた時に舌尖中央部が凹む」場合で,後続母音が高舌位母音を持つ弾音や摩擦音の構音の流暢性に少し問題があり,活舌が悪い場合には延長術の適応ですが,そのような方のことではありません.

  活舌には全く問題がないにもかかわらず,延長術が適応になる場合のことです.

 

 答えは,「咀嚼動作に問題がある」場合です.柔らかな「しゃぶ肉」は摂取できるが,塊になっている唐揚げは苦手というような場合です.構音動作での舌運動は,口腔矢状面での前後上下方向の二次元的な運動です.

 しかしながら,塊となっている食物を摂取するためには,前後上下方向の舌運動だけでなく,咀嚼運動のための舌の左右方向の運動が必要になります.すなわち,塊となっている食物の摂取には,speechよりもはるかに大きな空間での舌による咀嚼運動が必要であり,いわば三次元的な運動です.

 

 舌小帯が,構音機能の問題の原因にならなくとも,咀嚼運動の問題の原因になる場合には延長術が必要となります.ほとんどの場合,本人さんもご家族も気づかれていていないことが多いようです.

 「食事に時間がかかる」「柔らかい食べ物しか摂らない」「あまり噛まないで丸呑みしている」というような場合に少し気をつけていただくと良いかもしれません.

 

セミナーのご案内

 (一社)TOUCHのシリーズセミナー10月20日開催のアドバンストセミナー(事例紹介)受付中です.日本摂食嚥下リハビリテ-ション学会単位セミナー(20単位),仁保歯科衛生士会生涯研修認定セミナーです.