TOUCH口腔機能回復センター http://touch-clinic.jp/ (舘村歯科クリニック内) 一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

口腔機能の歯医者-DocTak舘村卓のささやきⅡ

摂食嚥下障害や音声言語障害に悩む方々のお役に立てる情報を提供します.

TOUCH Team for Oral Unlimited Care and Health
限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団
口腔機能の歯科医師 舘村卓は以下の代表を務めています
TOUCH口腔機能回復センター(舘村歯科クリニック) http://touch-clinic.jp/
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舌小帯,Stress-VPIと甲子園

舌小帯の早期手術は正しいか?

お約束の舌小帯と母乳保育についての私見の1回目,まず一般論から入ります.

 「母乳を飲まない」(正確には「breast feeding」ではうまく飲めないということだろうと思います)場合に,舌小帯のせいにしてはいけません.

 

まず,一般論からみてダメな理由を書きます.

 

「生後直後の乳児の舌小帯は,舌尖(舌前方)に付いているので,もともと短い」ということです.

母親の胎内にいる間の児は,口腔に流れ込む羊水を嚥下していますが,児が随意的に舌運動を行って嚥下しているのではありません.したがって,舌筋の発達は不十分であり,当然のこととして舌の体積は小さく「ペラペラ」です.その結果,乳児の舌小帯は舌尖近傍に付着していることで,短くなっています.その後に段階的に離乳食を摂取するようになって徐々に舌のvolumeは大きくなり,相対的に舌小帯の付着部位は,舌尖から後方に移動してきます.すなわち,乳児での舌小帯短縮症の正確な診断は難しいということです.

 

次回は,「では言葉の面からはどうなのか?」を書いてみます.

 

今日は,号外があります.それは,「Stress-VPIの学生さんと甲子園」です.

 

先月,TOUCH口腔機能回復センターに,ブラスバンドでB♭サキソフォーンを吹いていると「鼻に抜ける」患者さんが来られました.15歳の学生さんです.サキソフォーンを吹き始めた小学生の時から鼻抜けがあったとのことです.

学生さんは吹奏楽が続けたくて現在の高校に進学し,ブラスバンドに入っています.

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Stress-VPI用のPLPです.


初診時に聴覚評価と内視鏡検査の結果,典型的なStress-VPIであったため,吹奏楽器患者さん用のPLPを作成しました.稀なことですが,慣熟期間も短期間で済み,完成までには都合3回要しただけでした.

PLPを脳血管障害の患者さんに作成した場合,慣熟期間が,1月程度以上要することが多いのですが,強いmotivationのせいでしょうか(根拠はありません.申し訳ありません)

学生さんの高校は,同県の「甲子園」代表で,連日の練習はほんとにハードな様子でした.当然,応援団として猛暑の中での演奏時に,PLPは奏効し,鼻抜けは生じることなく,彼女の望みである1回戦を突破しました.バンザーイ!

まことに嬉しい限りです.