久しぶりのブログです.一社TOUCHの活動に加えてTOUCH口腔機能回復センター開設によりバタバタしていたらいつの間にか今年も残り半年強になってしまいました.
先週から熊本→大阪→札幌→大阪→東京と移動ばかりしていましたら,ピギーの引き過ぎか,背中を痛めてしまいました.トホホです.
さて,TOUCH口腔機能回復センターでは,「管楽器での鼻抜け」対策として楽器演奏者用のPLP(Palatal Lift Prosthesis 軟口蓋挙上装置)のサービスを行っていますが,先日来られた患者さんから,管楽器での鼻抜け対策には「アレキサンダーテクニック」とやらがあるのだとお教えいただきました.
早速調べてみたのですが,少々驚きの方法でした.
姿勢調整や意識の向け方を変える方法の様ですが,管楽器演奏時の鼻抜けの原因は,軟口蓋で口腔と鼻腔を分離する口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能の中心たる口蓋帆挙筋の疲労によるVPI(Velopharyngeal incompetence)です.この場合のVPIは,特別にStress-VPIと呼んでいます.
したがって,筋疲労を軽減しなければ改善しません.「疲労しないように口蓋帆挙筋を鍛えればよいではないか」とハードなblowing訓練を行うと,結果として疲労のために持続活動ができず,訓練効果は期待できません.
PLPで軟口蓋を挙上すると口蓋帆挙筋に要求される作業力は少なくて済みますので,持続活動が可能になります.これは,下肢機能に問題がある場合にクラッチなどで支持すると下肢筋にかかる負荷が減少することでリハビリテ-ションの効果があるのと同様です.
なかなか領域が異なると,生理学とは無縁の方法があり,それが大いに大手を振っていることに驚いた次第で,久しぶりの投稿でした.
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