TOUCH口腔機能回復センター http://touch-clinic.jp/ (舘村歯科クリニック内) 一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

口腔機能の歯医者-DocTak舘村卓のささやきⅡ

摂食嚥下障害や音声言語障害に悩む方々のお役に立てる情報を提供します.

TOUCH Team for Oral Unlimited Care and Health
限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団
口腔機能の歯科医師 舘村卓は以下の代表を務めています
TOUCH口腔機能回復センター(舘村歯科クリニック) http://touch-clinic.jp/
一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

Covid-19とともに過ぎた2020年も終わります

楽器演奏者でのStress-VPIのPLP治療

 Covid-19で大きく変容した2020年も残り少なくなりました.

 昨年までは出かけていた仕事,毎月の熊本ハロー歯科や他の施設でのOJT,京都光華女子大学奈良県立医科大学での講義,学会の各種委員会もオンラインとなりました.対面することでの仕事ではbrain stormingの効果があるので個人的には好みなのですが,この状況は今後も変わらないような気もしています.

 

 (一社)TOUCHの活動の一つである年4回のセミナーもphysicalでは実施できず,ウェビナーでの実施となりました.主催者,受講者双方にとってメリット,デメリットがあるようですが,今後も継続することで生じた問題点を解決していくことができると思っています.

 

 TOUCHクリニックは,音声言語障害と摂食嚥下障害に対するリハビリテ-ションを目的として一昨年に開設しましたが,リハビリテ-ションに必要な場合には口腔装置治療を行うことにしていました.今年に入り,Covid-19が猛威を振るうようになってから,管楽器演奏者の中に吹奏時に呼気が鼻抜けすることで演奏ができなくなる,あるいは洩れるかもと思うと演奏中に不安になると訴える方々からの問い合わせが一気に増えました.いわゆるStress-VPIの症状です.健常者では,blowing時に口腔内圧と口蓋帆挙筋活動が相関し,最大筋活動は可及的最大努力でのblowingで示されます.さらに,最大筋活動の70%以上の筋活動になると筋疲労が生じることが知られています.

 このことから,演奏時には口蓋帆挙筋が疲労し,軟口蓋が口腔と鼻腔を分離できなくなることでStress-VPIが生じていると思われます.PLP(Palatal Lift Prosthesis軟口蓋挙上装置)を装着することで口蓋帆挙筋の疲労が軽減できることを明らかにしていますので,Stress-VPIのPLPによる治療には合理性があります.

 Covid-19で出かけることができなくなったことで装置製作にかける時間がもて,多くの演奏者に装着していただいてお役に立てたことは,なんだか奇妙な嬉しさでもあります.製作に当たっては演奏者のご意見や印象をお聞きすることで,新たな学びもありました.

 もう今年も8時間余りとなりました.今年はYouTubeも中断したままで終わることになり,宿題を残したままのような気分でもありますが,閉じ籠りで違う時間の使い方ができるようになりました.来る年も新たな問題が現れてくるのだろうと思いますが,上手くmanagementできるようにしたいと思います.

 

来年も「忘れた頃に更新ブログ」をよろしくお願い申し上げます.

来る年が皆様にとって幸せな一年になりますことを祈念して2020年最後のブログを締めます.一年,有り難うございました.

 

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2020年大晦日

 

ウェビナー基礎B 12月20日,2021年1月10日 開催します.

ウェビナ-基礎B(評価)の受付を開始しました.

Covid-19,なかなか落ち着きません.最近の感染者数の増加,検査件数が増加したことにもよるのでしょうが,根拠なく少々慣れてきて,素晴らしい「3密」が忘れられてきているようにも思います.第3波であることは否定できないようです.

さて,11月3日,8日に開催しました基礎Aに引き続き,基礎B(評価)の開催を企画しました.12月20日,2021年1月10日です.あと数日での「師走」と「新年」の超多忙な折に恐縮しつつ,開催いたします.

摂食咀嚼嚥下機能の障害は,年齢,背景疾患,居住環境,過去の介入内容の相違によって多様な病態を示します.指示に従えることが前提でのVE検査VF検査が,必ずしも正確に問題の本質を明らかにできるとは言えません.VFで使用する造影剤は全ての食事を代表できるでしょうか?被写界深度が深く,辺縁収差の大きなVEで見ているのは何でしょうか?これらの評価方法では,廃用化に陥った機能の評価は困難です.

また,改訂水飲みテストフードテスト反復唾液嚥下テストは,様々な背景疾患を持つ子供から高齢者までの老若男女の嚥下機能を評価できるのでしょうか?

居宅,施設,病院の多様な環境で生活する方々の機能の現場で使える評価方法についてお話します.

 

詳細はこちらからどうぞ.

 

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診療室に向かう額描庭の秋

 

身体障害者手帳

身体障碍者手帳の発行は?

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10月29日の阿蘇中岳

コロナ禍で対面する仕事が制限されていますが,読者の皆さんはいかがされておられるでしょうか?

先週,それまで毎月定期的にお手伝いに伺っていた熊本に6カ月ぶりに出かけました.予定の仕事の一部がキャンセルとなり,先方のF営業本部長のご案内で阿蘇山に出かけました.コロナなどどこの話ですかというような気持ちの良い時間を過ごしました.写真はその折に立ち寄った道の駅からの風景です.中岳から少し噴煙が上がっているのが見えます.

 

今日は,以前大学にいるときから疑問に思っていることを書きます.血迷ったことを書くかもしれませんが,もう前期高齢者となっておりますので,年寄りの戯言とご容赦お願いいたします.

 

私は,「口腔」の役割は,音声言語機能と摂食嚥下機能であると思っております.「そんなん当たり前やん」と思われる方がほとんどではないかとおもいます.なぜなら「歯学部」「歯科大学」では,そう教えていますもの.「日本口腔ナンタラ学会」「日本(ナントカ)歯科(ナニャラ)学会」と名前の付く学会は腐るほど(失礼!)ありますし,この2つの機能に関する研究や臨床の発表が多いですね.とくに最近は「摂食嚥下機能」に関するものが増えているように思います.

 

口腔腫瘍切除後,口蓋裂初回手術後,脳血管障害後,外傷性頭部障害などでは,口腔機能の問題が必ず関わりますが,どんなに素晴らしい手術や治療を行っても,完全な回復が期待できない場合もあります.その場合,いわゆる「身体障碍」と称する状態になり,国は「障碍者手帳」を発行します.ここで重要なことは,この障碍者手帳を発行するには,「指定医師」による診察が必要であり,指定医師は個々の機能障害に関する学術的にも専門職であるとして,国が担当の標榜科を決めています(医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の 2に規定される診療科とする).

 

13の障碍が指定されており,その中に「音声言語機能障害」と「そしゃく機能障害」があります.しかしながら,「歯科」「口腔外科」は,指定標榜科としては認定されていません.日本には立派な口腔外科の先生方がたくさんおられますが,どう思われているでしょうか?

是非,先生方の大学病院,市中病院で手術を受けられた多くの患者さんのためにも,何とかしていただけないでしょうか?

 

明日はウェビナー基礎Aの開催です.まだ11月8日には若干の空席があります.怖いもの見たさでご参加されませんか?http://www.touch-sss.net/まで.

 

修了証,遅くなりました.申し訳ありませんでした.

第56回TOUCH口蓋帆咽頭閉鎖機能セミナー終了しました.修了証送付,遅くなりました.ウェビナー基礎A受付中です.

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額描庭の花

ようやく涼しくなってきました.でも「蚊」はまだ「我が描額庭」で飛びまくっています.

第56回VPFセミナー(ウェビナー)は9月13,20日に終了したのですが,何と手際の悪いことに,事前に修了証の用紙不足に気づいていませんでした.そのため,受講者の皆様には修了証+領収証をお送りするのが遅くなっていました.ようやく,昨日発送いたしましょいた.申し訳ありませんでした.

引き続きウェビナー基礎Aを11月3日5日に開催する予定です.受付中ですので,ご関心のおありの方は一社TOUCHのWEBページをご参照ください(http://www.touch-sss.net/).

さて,私の個人クリニック(舘村歯科クリニック 併設口腔機能回復室)では,管楽器演奏時に鼻抜けが生じて演奏できなくなる状態(Stress-VPI)の改善法として特別の作成法による口腔装置を提供しています.Stress-VPIは,B♭saxphoneやOboe演奏時に生じやすいとされています.とくにダブルリードの古典的なリード楽器の演奏時,とくに循環呼吸法での演奏時に生じやすいとされています.先日,作成させていただいた方は,やはりダブルリードのファゴットバスーン)の演奏者さんでした.低音では生じることはなく,構音吹奏時に生じやすいということでした.

ファゴットで生じることは教科書的にも記述がなく,Stress-VPIは,条件によって結構な頻度で発症するのではないかと思えます.

 

一寸お詫びとご案内でした.

次期TOUCH摂食咀嚼嚥下ウェビナー新シリーズ募集開始しました

ウェビナー新シリーズの基礎A募集開始です(+少し思うこと)

 まだまだphysicalなセミナーの開催には程遠いようですが,何となくこれが常態になってくるのかなぁという感覚もあります.

 一社TOUCHとして協力させていただいています川西市歯科医師会立訪問歯科センターでの定例セミナーを,ほぼ半年ぶりの9月6日に行ってきました.ほぼ半年間,ウェビナーでの開催,奈良医大での講義も遠隔,学会での編集委員会も遠隔等々,ほとんど世間の人々とご対面することがなかったため,何だか異様に気分が高揚しました.

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川西歯科医師会建物

 大学を辞して久しいですが,少し大学の空気を吸っていた者として気になる記事がありました.日経新聞に1週間ほど前の8月29日に39歳以下の教員の数が6年間で12%減っている一方,中堅(49-59歳)とシニア(60歳以上)は,この6年間に増加しているという記事がありました.すなわち,大学教員も大衆超高齢化しているということですね.これは主要18大学(RU11+7大学)での調査に基づくものだそうです.任期無しも任期ありも39歳以下の若手教員は減少しているとのことです.

 39歳以下を若手として20代前半と同様に扱ってよいのかという疑問は脇に置いておいて,なぜこうなったのでしょうね.5年でfireされるような任期あり教員に,敢えてなることを求める人はいるのかなと思いますが,いかがでしょうかね.5年後に成果が出なければ,路頭に迷うことになるのは怖いです.それも39歳になってから....

 今,海外留学する人や研究で海外にでる日本人が減っていますが,これも同様に帰国後の身分保障がなければ出ないでしょう.選択と集中という言葉のもとに,特定の先端的な研究にお金が集まりますが,この「先端的」という意味は何でしょうか?イノベーションは,「よそ者」「若者」「馬鹿者」によって成し遂げられるとのことですが,既に世界的に評価されている研究は過去の研究と言えるのではないでしょうか.

 日本にはデータアナリストがいないことや,どこかの外国での流行りを「先端」という人が滅茶苦茶多いことは,今回のコロナ禍で実感しましたし,相変わらず,「起こってほしくないことは起こらない」と考える日本であることもわかりました.この国を背負う若手の支援をしないで,この国は大丈夫なのかと思っています.どこかの誰かが根拠もなく作った(聞きかじってきた)基準で評価される若者は怒っているでしょう.

 

さて,表題のウェビナー新シリーズ11月から再開です.また一社TOUCHのHPをご覧ください.http://www.touch-sss.net/

 

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世界でここだけの鼻咽腔閉鎖機能セミナー(ウェビナー)募集開始しました

(一社)TOUCHウェビナー 口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能セミナーの募集を開始しました.

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口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖不全(医歯薬出版)


シリーズウェビナーの4回目は,口蓋帆咽頭閉鎖機能(いわゆる鼻咽腔閉鎖機能)についての基礎から臨床までの解説です.詳細はこちらからどうぞ.

口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能は,適切にspeechする上で必須の重要な機能です.近年には,摂食嚥下機能の要衝でもあることが明らかになってきていますが,ほとんどの成書にも正しい情報が記述されていません.

今回のセミナーは,軟口蓋運動を中心とする「口蓋帆咽頭閉鎖機能」についてです.この機能についての研究者は世界的に見てもほとんどいません.すなわち,今回の口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能セミナーは,世界的にも例のないセミナーです.

なぜ,なぜblowing訓練はだめなのか?なぜ吹き戻しと鼻息鏡では鼻咽腔閉鎖機能の評価はできないのか?なぜ構音訓練が一つの例外を除いて嚥下障害には効果がないのか?完成した形だけを真似たスピ-チエイドやPLP(軟口蓋挙上装置)に効果がないのか?などを音声言語生理学と摂食嚥下生理学の視点から解きほぐし,どう考えて対応するのかについての指針を提供したいと思います.

是非,speechの臨床に関わる方々にお勧めします.

第55回TOUCH摂食咀嚼嚥下ウェビナー アドバンストコース終了しました.

ウェビナー第三弾 TOUCHセミナーアドバンストコース事例検討終わりました

7月26日,8月2日とウェビナーによるTOUCHセミナーアドバンストコース,事例検討を終了しました.50名あまりのご参加をいただきました.有り難うございました.

参加された方々のお住まいの地域は,

北海道2,宮城1,東京3,神奈川1,群馬1,静岡1,愛知3,三重1,滋賀1,京都2,和歌山3,兵庫6,岡山1,広島2,鳥取1,沖縄1,他は大阪でした.

ウェビナーを3部(開催回数6回)開催して気づいたことですが,遠方からのご参加が可能であるのは当然としても,近隣の地域でもphysicalなセミナーの場合に直線距離は短くとも移動に時間を要する地域からもご参加いただけたことは,TOUCHの理念を知っていただく上で良かったことかと思っています.

もちろん,physicalなセミナーの場合には参加してくださる方々のお顔を拝見しながらですので(クスっと微笑む程度の)ギャグへの反応が遣り甲斐につながるのですが(何が目的やねん?と言われそうですが),ウェビナーの場合には反応が判らないところが欠点と言えば欠点です.ただ,チャットやアンケ―トを実施中に行うと,結構臨場感や受講者の方とマンツーマンで対応しているような気分になれ,随分と慣れてきました.

 

次回は,少し間が空きますが,9月13日,20日に,「世界で唯一,ここでしか聞けない口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能セミナー(長いので,VPFセミナー)」を開催します.相当にマニアックですが,摂食嚥下機能と音声言語機能の要衝で,ヒトにしか備わっていない機能VPFについて解剖,生理から臨床までをお話します.

speech person(speechに関わる職の方々)には,ご参加いただけると幸甚です.

 

写真は,当方の事務所/クリニックの入り口です.こんなところから発信しております.ほぼ限界集落,お友達は,猿,鹿,猪,各種取り揃える鳥類,自分の家と勘違いしている野良猫です.

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TOUCH事務所/TOUCH口腔機能回復センター