TOUCH口腔機能回復センター http://touch-clinic.jp/ (舘村歯科クリニック内) 一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

口腔機能の歯医者-DocTak舘村卓のささやきⅡ

摂食嚥下障害や音声言語障害に悩む方々のお役に立てる情報を提供します.

TOUCH Team for Oral Unlimited Care and Health
限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団
口腔機能の歯科医師 舘村卓は以下の代表を務めています
TOUCH口腔機能回復センター(舘村歯科クリニック) http://touch-clinic.jp/
一般社団法人TOUCH http://www.touch-sss.net/

今年1年,有り難うございました.令和2年もよろしく,お願い申し上げます.

令和元年もあと5時間ほどで去っていきます.

「今年もバタバタしてばかりの一年」と,毎年師走に同じことを書いておりますが,今年も変わらず同じ文章です.

中年以後のFM放送FM COCOLOの番組で,昨日が大瀧詠一さんの7回忌だったと放送していました.大瀧詠一さん名前を聞くと,「A LONG V・A・C・A・T・I・O・N」収録曲「君は天然色」と「カナリア諸島にて」が頭の中に流れてきます.

大学院1年目の時に,口腔外科の先輩で九州歯科大ヨット部OBの先生から,ヤマハディンギーY11を使って帆走を教えていただくために,琵琶湖に今は亡き山岡君と一緒にドライブしていた時に車の中でいつも流していた2曲です.山岡君の広大でのバスケットチームメイトが大分県歯科医師会の山原君で,実は学生時代に試合していたことで昵懇になり,今年は久しぶりに大分での日本口腔看護研究会でお話しました.

今年一年を振り返ってみます.

1月30日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

2月2日 西宮市歯科医師

 3日 LACヘルスケアスクール(大阪)

 9日 大分リハビリテ-ション病院協会

 11日 静岡県歯科衛生士会(この時は大手前高校の同級生 加治正行君と一献)

 23日 広島口腔ケア研究会(広島)

 27日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

3月3日 和歌山県歯科医師会(和歌山)

 27日 毎月の熊本ハローグループでのOJT

 31日 #48回 TOUCH VPFセミナー

4月4日 赤ちゃん歯科ネットワーク(浅草)

 24日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

5月9日 鳥取県医療福祉専門学校で口蓋裂の講義

 19日 #49回 TOUCH基礎セミナーA

 26日 川西市歯科医師会立訪問歯科センターでのシリーズセミナー第1回目 TOUCH基礎Aセミナーの前半

 29日毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

6月5日 日本ヒューマンナーシング研修会(NICD)(札幌)

 7日 老寿サナトリウムで講演

 9日 LACヘルスケアスクール(東京)

 25日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

7月4日 奈良県立医科大学講義

 5日 管理栄養士研究会(大阪)

 7日 川西市歯科医師会立訪問歯科センターでのシリーズセミナー第2回目 TOUCH基礎Aセミナーの後半

 31日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

8月4日 兵庫県保険医協会

 18日 #50 TOUCH基礎セミナーB

 22日 介護労働安定センター TOUCH基礎セミナーA+相互実習+体験型実習

 28日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

9月1日 川西市歯科医師会立訪問歯科センターでのシリーズセミナー第3回目 TOUCH基礎Bに準ずる評価方法の講義

 4日 全国老人保健施設協会 第二回職員基礎研修会・中堅職員研修会(大阪)

 25日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

10月5日 5大学間連携科目(プレプロフェッショナル教育プログラム:医学・医療入門)武庫川女子大にて講義

 6日 川西市歯科医師会立訪問歯科センターでのシリーズセミナー第4回目 摂食嚥下リハビリテ-ションの3つのキーフレーズ ①呼吸路の安全性の確保の方法-シーティング,ポジショニングの採り方実習

 7日 光華女子大学講義①

 11日 長崎県歯科医師会講義 実習付TOUCHセミナー基礎A

 12日 日本リハビリテ-ション病院施設協会「口のリハビリテ-ション医科歯科連携インストラクター講習会」(長崎)

 20日 #51  TOUCHセミナーアドバンストコース

 21日 光華女子大学講義②

 28日 光華女子大学講義③

 30日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

11月4日 光華女子大学講義④

 16日 東住吉区歯科医師

 17日 日本リハビリテ-ション病院施設協会「口のリハビリテ-ション医科歯科連携インストラクター講習会」(米子)

 24日 日本口腔看護研究会(JAON)(大分)

 27日 毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

 30日 糸島医師会「地域の食支援力をアップする研修会」(福岡県糸島市

12月8日 LACヘルスケアスクール(東京)

 11日毎月の熊本ハローグループでのOJT・ミニレクチャー

 15日 川西市歯科医師会立訪問歯科センターでのシリーズセミナー第5回目 摂食嚥下リハビリテ-ションの3つのキーフレーズ ②口腔咽頭機能の賦活の方法-口腔機能リハビリテ-ションの実習

f:id:DocTak:20191231190640j:plain

LACヘルスケアスクールからの帰路,LACビルを出たところでパチリ

 

それでは今年最後に撮影した東京タワー(LACスクールからの帰路でした)で,皆さんが良い新年をお迎になることをお祈りいたします.

TOUCHセミナー 口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能を極めるセミナー受付中です.

 

 

 

第52回TOUCH 口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能セミナー 受付開始しました

 

f:id:DocTak:20191026175319j:plain

吹き戻し(carnival blow,巻き鳥とも言います)はVPF評価ツールですか?訓練効果はありますか?


第52回 TOUCHセミナー 口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能を極める!

第51回TOUCHセミナーアドバンストコースは10月20日に終了しました.53名の参加をいただきました.有り難うございました.

 

次回は来年(2020年)2月16日開催の口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能セミナーです.

 ヒトが二足歩行することによって獲得した機能のため,動物実験が不可能なことで,参考になる情報は極めて少ない機能です.近年には,摂食嚥下機能の要衝でもあることも明らかになってきていますが,立派な巨大な日本を代表する学会編集の教科書にも正しい情報は記述されていません.

 残念なことに,この機能についての研究者は世界的に見てもほとんどいません.すなわち,今回の口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能セミナーは,世界的にも例のないセミナーということです.

なぜ形だけを真似たスピ-チエイドやPLPに効果がないのか? なぜblowing訓練はだめなのか? なぜ構音訓練が嚥下障害には効果がないのか?などを音声言語生理学と摂食嚥下生理学の視点から解きほぐし,どう考えて対応するのかについての指針を提供したいと思います.

あなたは「吹き戻し,carnival blow,巻き鳥」を使って口蓋帆咽頭(いわゆる鼻咽腔)閉鎖機能の評価をしたり,blowing訓練を行ったりはしてはいませんよね.....

「エッ⁉」と思われた方は,どうぞご参加ください.

 http://www.touch-sss.net/article/15464981.html

 

PDFでの案内書とFAXでの申込書はダウンロードできます.マウスオーバーしてください.

 

 

口のリハビリテ-ション医科歯科連携インストラクター講習会@長崎

f:id:DocTak:20191014215342j:plain

長崎リハビリテ-ション病院の素晴らしい表情

長崎県歯科医師会での実習セミナー

先週11日に長崎リハビリテ-ション病院にて,同病院の栗原先生が推進される「歯科オープンシステム」に関わられている歯科医師や歯科衛生士さんにミニレクチャ―を行い,翌12日には「在宅歯科医療に関わる歯科医療従事者人材育成支援研修」の一環として,「口のリハビリテ-ション医科歯科連携インストラクター講習会」で,午後3時から7時まで(実際には7時30分まででした)実習付セミナーを行ってきました.参加いただいた先生方にはお疲れ様でした.少々時間が伸びたことで,長崎県歯科医師会の先生方にはお疲れになられたかもしれません.申し訳ありませんでした.

「改訂水飲みテスト」,「フードテスト」,「反復唾液嚥下テスト」の口腔生理学から見た「怪しさ」についてもお話いたしました.

呼吸路の安全性の確保の方法

3つのキーフレーズの内の「呼吸路の安全性の確保」について,想定モデルを「認知症」で身体機能が不自由な方,すなわち,老健や特養等の長期療養施設の利用者さんを想定して,安全な食事時の椅子での姿勢の作り方,簡易車いすの問題点と解決方法,ベッドの場合の安全な姿勢を作る方法や考え方,ベッドで臥位で生活する方への呼吸路の安全性の確保のためのポイントやいとも簡単にできる側臥位の作り方などの実習を行いました.

認定士限定セミナーの予告

来年3月15日にTOUCH認定士に限定した実習セミナーを行いますが,今回のセミナーの内容はそれに準じた実習でした.

WEB版 TOUCH摂食咀嚼嚥下基礎セミナーA #14(1)公開しました.

流行りの検査-改訂水飲みテスト,フードテスト,反復唾液嚥下テスト-は何が診れるのか?

保険請求する場合にも,これらの検査を行うことが条件付けされています.でも,本当にこれらの検査は適切に評価できるのでしょうか?保険に収載されていることは,絶対「真」といえるのでしょうか?

大いなる疑問を感じています.まず1回目は,改訂水飲みテストへの生理学から感じた疑問です.その疑問の根拠について提示しています.7分25秒の動画です.

 

こちらからどうぞ.


摂食嚥下障害への対応が求められている

 

舌小帯_最終回です.第51回TOUCHセミナー募集中です

先週,明治HDさん,産総研さんとの共同研究のために小田原に出かけていました.現在,ラグビーワールドカップが開催されていますが,小田原ではオーストラリア代表のワラビーズが事前キャンプを張っていました.オーストラリアから大挙してファンが押し寄せていました.

何と小田原の駅前で馬に騎乗する北条早雲さんも,応援のために,ワラビーズの黄色のユニフォームを着ていました.

f:id:DocTak:20190928152607j:plain

北条早雲さん_ワラビーズ応援中

舌小帯のシリーズは2回で終わるつもりが,3回になり,今回が最終回です.

  構音機能の評価ができない段階での舌小帯の手術は避けるべきであることを書いてきました.しかしながら,臨床の現場では,構音に問題がないにもかかわらず,舌小帯を延長しなければいけない患者さんに遭遇することがあります.

さて,どんな患者さんでしょうか?

 

 もちろん,単音レベルでの構音機能に重度の問題がないものの,教科書的に「舌を突出させた時に舌尖中央部が凹む」場合で,後続母音が高舌位母音を持つ弾音や摩擦音の構音の流暢性に少し問題があり,活舌が悪い場合には延長術の適応ですが,そのような方のことではありません.

  活舌には全く問題がないにもかかわらず,延長術が適応になる場合のことです.

 

 答えは,「咀嚼動作に問題がある」場合です.柔らかな「しゃぶ肉」は摂取できるが,塊になっている唐揚げは苦手というような場合です.構音動作での舌運動は,口腔矢状面での前後上下方向の二次元的な運動です.

 しかしながら,塊となっている食物を摂取するためには,前後上下方向の舌運動だけでなく,咀嚼運動のための舌の左右方向の運動が必要になります.すなわち,塊となっている食物の摂取には,speechよりもはるかに大きな空間での舌による咀嚼運動が必要であり,いわば三次元的な運動です.

 

 舌小帯が,構音機能の問題の原因にならなくとも,咀嚼運動の問題の原因になる場合には延長術が必要となります.ほとんどの場合,本人さんもご家族も気づかれていていないことが多いようです.

 「食事に時間がかかる」「柔らかい食べ物しか摂らない」「あまり噛まないで丸呑みしている」というような場合に少し気をつけていただくと良いかもしれません.

 

セミナーのご案内

 (一社)TOUCHのシリーズセミナー10月20日開催のアドバンストセミナー(事例紹介)受付中です.日本摂食嚥下リハビリテ-ション学会単位セミナー(20単位),仁保歯科衛生士会生涯研修認定セミナーです.

 

 

舌小帯のつづきです.言葉の面から見てみましょう

f:id:DocTak:20190911143423j:plain

Sander  いつ児は言葉を覚えるのか?


あなたは「将来,胃がんになってはいけないので胃を切除します」ということばで胃を取りますか?

適切に運動器官が機能を発揮するには,筋肉が発達する必要があり,そのためには「負荷をかけて運動させる必要がある」が原則です.

舌は筋肉の塊なので,負荷をかけて運動させることで大きくなり,舌機能は発達します.すなわち,食物の物性を高めていくことで送り込み運動や咀嚼運動が負荷となって,食事を摂取するための舌機能は発達していきます.

では,言葉を表出する機能はどうでしょうか?

上図は,アメリカのSanderという先生が発表された論文「When are speech sounds learned ?

」(Sander, EK. : J Speech and Hearing Disorders,1972, 37:54-63)の中の図です.この図の横軸は,ある音素の表出開始年齢の範囲を示しています.すなわち,口唇音[p][m][b]は,児によっては1.5歳で表出する子もいれば3歳になって初めて表出できる児がいる,という意味です.

[r]音(弾音)の表出は,舌尖が最も高く上がって口蓋に接触することが必要であり,舌の運動範囲の拡大と巧緻性の向上を要求するために,早い児でも3歳になってから,中には8歳までかかる児もあり,さらに摩擦音[s]は,舌側縁を左右の臼歯に触れつつ舌尖と口蓋の間に空間を作るという高い巧緻性を必要とするため,8歳になってようやく表出できる児がいることを示しています.臨床の現場でも,「先生」が「てんてい」になる幼児構音と称される話し方をする児がいます.

 

このような舌の高い巧緻性を必要とする音素は,4-5歳時においても舌小帯が短いと適切に表出することが難しいかもしれません.しかしながら,乳児の段階での舌小帯の状態から,早くとも3歳にならないと表出できないような,これらの音素の表出機能を診断できるのでしょうか?

先の記事でも書きましたが,舌は食事を摂する中で発達し,舌小帯も後方に(見かけ上)偏位して伸びてきます.とすると,診断は早期過ぎるのではないかと思えます.

すなわち,「将来,ことばに問題が生じる」「将来話せなくなる」というkiller phraseで手術を勧める方は,どれほど言語発達についての見識があるのでしょうか.さらに,このkiller phraseにもとづいて手術される医師,その中には言葉の専門家でもある耳鼻咽喉科医や口の専門職の歯科医師もおられることは残念でしかたありません.

 

あなたは,「この児が将来胃がんになってはいけないので,今,胃袋を取っておきましょう」ということばで手術を勧められるでしょうか.

 

 

 

第50回TOUCH摂食咀嚼嚥下基礎セミナーB 終了しました.

(一社)TOUCH摂食咀嚼嚥下基礎セミナーB(評価)終了しました.

 

f:id:DocTak:20190818124440j:plain

第50回TOUCHセミナー基礎B受講風景


基礎Aセミナーを基礎にして,臨床現場で有効な評価方法についてお話しました.臨床現場というと病院やクリニックを想定されることが多いのですが,これらは基本的に通院でき,指示に従ってtaskを履行できる人がほとんどです.このような方々での嚥下障害の評価は,VEやVFでも可能でしょう.しかしながら,実際に嚥下障害でお困りの方々は,指示に従えず,病院にもお越しになれない方々であり,これらの方々への日常生活を支援される方々がお困りです.

実際,2010年全国老人保健施設協会の調査では,当時協会に登録の3350老健施設の利用者さん298000人余りの85%が認知症であり,その内の80%がアルツハイマー病と血管性認知症でした.すなわち,ほとんどの利用者さんが,VEやVFでの検査自体の「適用」ではないということです.これを金科玉条のように,無理矢理実施しても,適切な評価結果は得られず,またこれらは「廃用化」を検出できません.したがって,直接介入することなく,評価する方法が必要で,その考え方をお話しました.

67名の方々に参加していただき,うだるように暑い池田商工会議所で約4.5時間の講義を受けていただきました.有り難うございました.

 

次回アドバンストコースでは,事例を提示し,今回の評価法をどのように現場で使っているかをお話します.

10月20日,12:30より,いつもの池田商工会議所です.詳細はこちらからどうぞ.